A.10
病院での診察や薬局での調剤には、今使っているお薬の情報も非常に大切です。
どの位の間隔でお薬をもらって服用されているか、最後にもらったのはいつだったのかというのも、大切な情報なのです。
ですので、病医院・歯科医院・救急時・薬局に行く際には、毎回お薬手帳をお持ち下さい。
そして今どんな治療をしているか、過去にどんなお薬を飲んだことがあるのか、あなたのお薬手帳で確認をさせてください。
○「お薬手帳」とは?
患者様が「いつ・どこで・どんなお薬を処方してもらったのか」を記録しておく手帳のことです。
複数の医療機関などを受診するときや転居先などの薬局で「お薬手帳」を提示することにより、継続的なお薬の管理が可能になります。
○お薬手帳には
1 患者様の氏名・生年月日・連絡先など患者様に関する記録
2 患者様のアレルギー歴、副作用歴など薬物療法の基礎となる記録
3 患者様の主な既往歴等疾病に関する記録。
を記録しておくことが必要です。
○「お薬手帳」の使い方
1 一冊の手帳で、あなたの全てのお薬を管理しましょう。
2 病医院や薬局に行くときには毎回忘れずに持って行きましょう。
3 市販のお薬や健康食品も、書いておきましょう。
4 事故、災害等の緊急時に備えて、いつも携帯しましょう。
5 ジェネリック医薬品に変更した時は、次回診察時に医師・歯科医師に必ずお見せ下さい。
6 分からない事、困ったことがある時には、メモしておきましょう。
お薬手帳がいっぱいになったら、薬局で新しいお薬手帳をもらうことができます。
お薬手帳をまだ持っていない方は、かかりつけの薬局で作ってもらうことができます。詳しくは、かかりつけ薬局でご相談下さい。
(H22.3.30掲載)
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A.9
徐々に新型インフルエンザが広がり始め、ワクチンも不足しているということで、気になる方が結構いらっしゃるかと思います。
まずは、皆さんご存知のとおり、「マスクの着用、手洗い、うがいをする」ことですが、これらの商品も不足して、なかなか購入できなくなっています。
そこで、抗ウイルス作用が期待できるサプリメントを紹介しましょう。
医薬品ではありませんが、「板藍根(ばんらんこん)」という健康補助食品があります。
○板藍根とは?
タイセイやホソバタイセイというアブラナ科の植物の根を乾燥させた生薬です。
東洋医学では、板藍根は《清熱解毒(せいねつげどく)》《涼血利咽(りょうけつりいん)》の薬能を持つ生薬とされています。
《清熱解毒》とは、細菌やウイルスによる感染や炎症に伴う発熱、腫脹、疼痛などを抑える働きを意味します。
《涼血利咽》とは、のぼせや発赤、紅斑、鼻血、充血などの症状やのどの症状を抑える働きを意味します。
○板藍根の主な働き
培養細胞などを使用した基礎研究において、次のような作用が認められています。
・抗ウイルス作用~ウイルス感染や体内での増殖を抑える働き。
・抗菌作用~細菌感染や体内での増殖を抑える働き。
・免疫増強作用~体の免疫力を強くする働き。
・解熱消炎作用~熱を下げる働きと痛みや腫れなどの症状(炎症)を抑える働き。
○こんなときには板藍根
・風邪をひきやすい
(インフルエンザの流行時の予防に)
・よく扁桃腺が腫れて高熱を出すお子様
(急性の場合はもちろん、何度も繰り返す扁桃腺炎でお困りのときに)
・のどに違和感がある
(のどからくる風邪や、急性咽頭炎などでのどの痛みや腫れがひどいときに)
・口内炎ができやすい
(口内炎や口の周りの水泡「ヘルペス」ができやすい方や、なかなか治らないときに)
・ニキビが化膿しそうなとき
(ニキビや吹き出物が大きく腫れ、化膿して痛くなりがちな方に)
・お腹を壊しやすい
(細菌性の急な下痢なときやお腹を壊しやすい方に)
※板藍根は医薬品ではなく、健康補助食品です。症状の改善を期待できるものではありません。
高熱などの症状がある場合は必ず医師に受診をしてください。
医薬品では、インフルエンザに効果があるお薬に「タミフル」や「リレンザ」があります。
これらのお薬は予防としての処方は原則認められていません。
しかし、患者様と接触した可能性のある方や同居の家族のうち、65歳以上の高齢者、COPD(閉塞性肺疾患)、慢性心不全、糖尿病、腎不全の患者様などについては、保険適応外ながら予防での処方が認められています。
このような場合は、かかりつけの病院に相談をしてください。
(H21.10.23掲載)
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A.8
横紋筋融解症とは、筋肉に障害が起こり、筋肉痛や脱力感などの症状が現れ、筋の成分である「ミオグロビン」が血液中に流れ出る病気です。
赤褐色の尿が見られることがあり、放っておくと腎不全になることもあります。
○初期症状は
筋肉痛
手足の力が入らない
○進行すると
尿の色が濃くなる(赤褐色)
お医者さんから処方されるお薬の中には、副作用で横紋筋融解症を起こす可能性のある薬があります。
特別なにか運動をしたわけでもないのに、「筋肉痛になった」、「手足の力が入らない」という症状が出たら次回の受診日にお医者さんに伝えてください。
しかし、尿の色が赤褐色になるようなら、服用しているお薬を止めて、すぐ病院へ受診してください。
副作用はどんなお薬にもありますが、早期に発見し適切な処置をおこなえば大事に至ることはありません。
また、他にもお薬を服用して体調がおかしいと感じたら、医師、薬剤師に相談してください。
(H21.6.24掲載)
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A.7
歌手のA香さんが、バセドウ氏病であることを発表されて、「どんな病気か」の質問をよく受けます。
○バセドウ氏病とは
甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ氏病です。この病気は、甲状腺臓器の特異性な自己免疫疾患のひとつで、1000人中2~6人いると言われています。バセドウ氏病を患うと、甲状腺ホルモンを必要量より大量に作りすぎ、血液中に多く流れ、全身の新陳代謝を活発にさせる為に様々な症状が現れます。
○症状は
・頻脈~脈拍が速くなり、動悸が起き、息切れを起こしやすくなります。
・発汗~汗が多く、暑がりで疲れやすくなる。脱力感が起きることもあります。
・発熱~37.5℃前後の微熱といった症状が現れます。
・眼球突出~顔つきや目つきがきつくなり、眼が出てくる眼球突出が見られます。これにより眼痛、複視が起こることもあります。
・精神的~落ち着きが無く、いらいら感や不眠になります。
・体重の変化~食欲が増しても体重が減ってしまう人や、むしろ食べ過ぎて体重が増えてしまう人もいます。
・女性~月経不順、無月経、不妊に至ることがあります。
・血液検査~コレステロール低下、血糖上昇、血圧上昇、肝障害を起こすことがあります。
○治療法は
バセドウ氏病の治療は、甲状腺ホルモンが過剰につくられないようにするものです。
1 抗甲状腺剤の内服
2 手術(甲状腺亜全摘術)
3 アイソトープ治療
甲状腺ホルモンを正常な量にコントロールする事で、健康な人と変わらない生活ができます。
専門の診療科は内分泌科です。
気になる症状があれば病院へ受診してください。
(H21.4.10掲載)
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A.6
最近、芸能人、スポーツ選手、学生など大麻を使用して取締りを受けたと、よくニュース等で話題になっていますね。
○大麻とは、繊維植物の麻(アサ)のことで、乱用には葉及び樹脂が用いられます。
よく知られているマリファナとは大麻の葉のことです。
大麻は脂溶性が高いため、吸煙では肺から、経口の場合は腸管から吸収されやすく速やかに全身に分布します。血液-脳関門も容易に通過して脳内に入ります。
また、排泄されにくく、1ヶ月間くらい体内に残ります。
○大麻の乱用者は、幻覚作用による
1 気分・情動の変化(胸酔感、幸福感)
2 感覚・知覚の変化(音感、視覚、味覚、体感の鋭敏化)
3 思考の変化
といった日常の自分とは異なった体感を楽しむために大麻を摂取します。
しかし、摂取量が増えれば攻撃性や妄想などの急性の精神症状も認められ、さらに耐性や依存性も報告されています。
○乱用による影響
1 一般~慢性疲労及び嗜眠、慢性悪心及び嘔吐、頭痛、過敏症
2 口腔咽頭~舌の変色、口蓋垂の腫れ
3 呼吸器~空咳、咽頭痛、鼻のうっ血、喘息、上気道感染、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、肺がん
4 神経~幻視、幻聴、筋肉協調の低下、距離及び色感覚の変化
5 生殖~不妊症、無月経及び月経異常、子孫における奇形児の出生、勃起不全、性欲の低下及び性的満足
6 精神~陶酔感、興奮、攻撃性、恐怖感、急激な気分の変化、パニック発作、人格変化、自殺傾向
7 認識~短期記憶の減衰、要約障害、痴呆、せん妄
8 社会的~引きこもり及び隔離、集団への同一化における変化、スポーツ等活動からの落伍
以上のことから大麻って体にとって決して良いものではありません。
そして「大麻取締法」により所持、栽培、譲り受け・譲り渡しが禁止されています。
皆さんも決して近寄らないようにしましょう。
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Q.5 後発医薬品(ジェネリック医薬品)って大丈夫?
A.5
後発医薬品は先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に、開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が低くなっています。
後発医薬品の普及は、患者様の負担軽減、国の医療費の財政改善の為に、政府としては、これを積極的に推進しています。
平成20年4月の医療法改正により、患者様が直接薬局で後発医薬品を希望されても変更可能となりました。
(ただし、医師が変更不可のサインがある場合、後発医薬品が販売されていない場合を除く)
1 後発医薬品は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含む同一投与経路の製剤(例えば錠剤・カプセル剤等)で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一で、先発医薬品と同等の臨床効果が得られる医薬品です。
2 後発医薬品を製造販売するには、先発医薬品と同様に、薬事法に基づいて厚生労働大臣から承認を得なければなりません。
3 承認を得るためには、「規格及び試験方法」、「安全性試験」、「生物学的同等性試験」の試験結果を提出し、品質、有効性、安全性が先発医薬品と同等であることを証明する必要があります。
4 そして、審査機関が先発医薬品と後発医薬品とが同レベルの品質、有効性、安全性を有するかどうかについて厳格な審査を行い、同レベルにあることが確認できた後発医薬品だけが製造販売承認を得ることができます。
○これらのことから
後発医薬品だからといって、品質、有効性、安全性が変わるわけではありません。
最近では、患者様が希望されなくても病院で処方される医薬品がすでに後発医薬品で、本人の気がつかないままに後発医薬品を服用されていることもあると思います。
また、先発医薬品(=1つの製薬会社)から複数の製薬会社が同じ後発医薬品を製造販売することがあります。
この場合、同じ後発医薬品でも医薬品の名前、見た目(シートの色・サイズ、錠剤の色・形等)がまったく違う場合があります。そして薬価も違う場合がありますが品質、有効性、安全性に問題はありません。
○注意事項
ただし、先発医薬品と後発医薬品では医薬品を製造するときの添加物が違うことがあり、その添加物が人によっては合わないことがあります。
服用してみて万が一、体に合わないようならば、医師、薬剤師に相談をして下さい。
また処方されているお薬は患者様によってさまざまです。
ご自分が服用されているお薬がすでに後発医薬品か、またはお薬代を安くしたいので後発医薬品にしてみようか、と思われている方は、そのお薬をもらわれている調剤薬局でご相談下さい。
中には、後発医薬品に変えてもお薬代が安くならない場合もあります(元々の先発医薬品が安価な為)ので、お薬代がどの位安くなるのかも合わせて相談したほうがよいでしょう。
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A.4
病院の診察室で測った血圧が正常な人でも、家庭や職場など日常生活において高血圧が認められることがあります。これを「正常血圧という”仮面”をつけた高血圧」という意味で「仮面高血圧」と呼んでいます。
仮面高血圧は、高血圧の治療を受けている人にも見られる場合があります。
例えば、朝、降圧薬を飲んで、病院で血圧を測定する時には正常でも、夜間から朝にかけて薬の効果が切れて、血圧が高くなっていることがあります。
○仮面高血圧は怖い?
仮面高血圧は、「自分は健康である」、あるいは「治療はうまくいっている」と思い込んでしまうことがあります。そのため、適切な対処をしないまま動脈硬化が進行し、将来、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす可能性が高くなります。
○早朝高血圧の方は多い?
仮面高血圧の多くは、早朝に血圧が高くなる「早朝高血圧」です。
早朝高血圧には、次の2つのタイプがあります。
1 夜間持続型:夜間から早朝にかけて、睡眠中も血圧の高い状態が続く。
2 早朝上昇型:睡眠中の血圧は正常ですが、起床してから急激に血圧が上昇する。
○早朝高血圧の見つけ方
起床後1時間以内(朝食前、服用前、排尿後)の血圧を測定し、最高血圧が140mmHg以上の場合は、就寝前の血圧も測定して判断します。
血圧を測定する時は、座って1~2分安静にしてから、上腕で血圧を2回測定(測定間隔は2~3分あける)し、2回目の値で判断します。
測定して高血圧の可能性がある方は、かかりつけ、もしくはお近くの病院に受診してください。
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Q.3 医薬品副作用被害救済制度ってどうやって利用すればいいの?
A.3
病院・診療所で診療を受けてもらった医薬品、薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用により、入院が必要な程度の疾病や障害などの健康被害を受けた方に対して救済給付を行う公的な制度です。
給付の請求は、健康被害を受けた本人またはその遺族が直接、「医薬品医療機器総合機構」に対して行います。
その際、医師の診断書や投薬証明者あるいは薬局などで医薬品を購入した場合は販売証明者、受診証明書などが必要になります。
救済給付の請求については、「医薬品医療機器総合機構」へご相談ください。
ホームページ http://www.pmda.go.jp
相談窓口 受付時間[月~金]9時~17時30分
0120-149-931(フリーダイヤル)
03-3506-9411(携帯電話・公衆電話)
「医薬品医療機器総合機構」では、制度の仕組みを解説したパンフレットおよび請求用紙などを無料でお送りしてくれるそうです。
また、ホームページからダウンロードすることもできます。
*救済給付の対象とならない場合があります。
1 法廷予防接種を受けたことによるものである場合。
2 医薬品の製造販売業者などの損害賠償責任が明らかな場合。
3 救命のためにやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品を使用したことによる健康被害で、その発生があらかじめ認識されていたなどの場合。
4 医薬品の副作用において、軽度な健康被害や請求期限が経過した場合。
5 医薬品を適正に使用していなかった場合。
6 対象除外医薬品による健康被害の場合(抗がん剤、免疫抑制剤など)。
まずは「医薬品医療機器総合機構」にご相談ください。
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A.2
かぜは、鼻のかわいた感じ・粘性、膿性(色のついた)の鼻汁・唾を飲み込むときの喉の痛み・発熱を伴うことがあります。季節は不定。
しかし、花粉症の場合、鼻と目はかゆみ・特に目は充血、涙目になることあり・鼻汁は水性・喉は痛みよりもむしろかゆみ・発熱はなし・例年決まった季節に起こり、季節中は続きます。
花粉症は、その人にとって突然やってきます。
今までに花粉症でなかった人でもこれから花粉症になる可能性はあります。
そういう時にかぜか、あるいは花粉症か、わからないことがあるのかもしれません。
原因は植物、遺伝、生活環境が考えられ、対策としては、原因となるものを取り除くことが大切です。
原因となる植物を「神田先生のウンチク話 2」に掲載しています。参考にしてみてください。
治療は、主にアレルギー薬ですが、予防的に使えるお薬と、症状が出てしまった時に使えるお薬とは違います。
花粉症と思ったらまずは近くの病院に受診してみましょう。
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A.1
スイッチOTC薬とは、「それまで医療用としてしか、用いられていなかったお薬の成分を、転用(スイッチ)し、OTC(薬局・薬店で購入できる一般用医薬品のこと)として病院に行かなくても購入できる医薬品のことです。
代表的なものとして、「H2ブロッカー」、「外用水虫薬」、「外用鎮痛剤」「かぜ薬」「アレルギー薬」などがあります。
医療費の引き上げや、一般消費者の医療に対する関心などでスイッチOTC薬に対するニーズは高まってきていますが、以下のような多くの問題も残されています。
1 OTC医薬品には配合薬が多い。
2 医療用医薬品と併用して服用されることが多い。
3 医療用、一般用双方の医薬品情報の不足により誤用などの危険性がある。
4 OTC医薬品販売をする時の販売者の情報提供が不十分な場合がある。
購入するときは、医療用医薬品同様、OTC医薬品でも効率的かつ安全に使用できるよう薬剤師に相談してから購入しましょう。
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